平成29年度 江戸川区歯科技工士会学術講習会 報告

 

                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広報部 東部ブロック 並木昌幸

 

 平成30年3月17日、江戸川区歯科技工士会学術講習会が開催された。江戸川区歯科医師会高齢者歯科担当の広瀬芳之先生を講師にお招きし『口腔機能と義歯研磨面形態』という演題にてご講演いただいた。

 

 超高齢化社会の今、高齢期において社会性を維持する意義は大きい。「うまく食べれない、うまくしゃべれない』であると、人に会いたくないという思いから近所付合いを避けるようになり「閉じこもり」になる危険性が大きいとされる。【社会参加の虚弱】

 「閉じこもり」になってしまうと「孤食」や「うつ傾向」になり易く「食事の偏り」「食欲不振」から、「虫歯」「歯周病」「飲み込みにくさ」などが発生し、「嚙めない』⇒「柔らかいものを食べる」⇒「嚙む機能の低下」と悪循環が生じる。【口腔内機能の低下】

 「口腔内機能の低下」「摂食機能障害」により「筋力低下」「腰、ひざ、足の痛み」等々、病がちになる。【身体機能の低下】

 ひいては「要介護」「寝たきり」の状態になってしまう。

 

 栄養バランスの基本はタンパク質20%、脂肪20%、炭水化物60%であるが、歯が悪く(歯が無く)食べられないと多くの場合炭水化物に頼りがちになってしまうが、偏りなく多くの食品を摂取することが大切である。摂食嚥下障害は、嚥下できる状態まで咀嚼出来ないまま、嚥下してしまうことにより発生することが多い。それを防ぐ為には『食べられる補綴』が必要であり、摂食機能障害の9割は咀嚼によって回復できる。

 口腔機能とは歯はもちろん頬、唇、舌、喉などの高度なシンクロによって成り立っている。その中の舌の機能は、咀嚼や食塊の形成、嚥下、発音等々、「巧緻性」により成り立つ。

 舌の筋力低下により舌が上顎口蓋部に届かないこともある。義歯のロ蓋部を通常より厚くして、舌が届くようにする舌接触補助床などもあるが、舌房が舌の形と合っていることも大切であり、また発音時にも口蓋のどの部分に舌が接するのかを知り、義歯製作時には歯肉形成をしなければならない。【パナトグラム】

 咀嚼により嚙み砕いた食物を唾液によりまとめて嚥下するのだが、唾液が少なくまとめにくくなると誤飲につながる。嚥下時は無呼吸であり一塊になった物だから嚥下できるのである。高齢期で筋力低下や要介護状態になってしまうと、背中が丸まり顎を突き出す姿勢で食事をする人がいるが、その姿勢は口から肺が一直線になってしまい誤飲し易い。

 高齢者は筋力量を減らさないことが重要で、補綴による「咬合回復」「運動機能訓練」「食べ方の指導」「食べ物の調整」といった『食べられる状態に維持できている』ことが重要である。

 年度末の開催であったが、講演の中に直接技工にかかわることも多く、活発な質疑応答があった。参加者が充分に満足できる濃い講習会であったと思う。